ロボット学者、植物に学ぶ 自然に秘められた未来のテクノロジー2022年04月18日

バルバラ・マッツォライ (久保耕司・訳) <白揚社・2021.7.7>

 植物をモデルとしたロボット、プラントイドのアイディアと作成の試みは面白いと思ったが、大まかな原理だけで具体的な細かい設計の話がないために、感心するまでには至らず。論文には細かく書くのだろうから、それを素人向けにした、わかりやすい模式図を書いて欲しかった。
 以下は印象的な内容。
 コアラは他の哺乳類や昆虫にとって有毒な化合物を有するユーカリの葉を食べるように進化した。ユーカリの葉は栄養が乏しく得られるエネルギーが少ないため、コアラはそれに見合っただけの活動しかせず、1日の大半(18〜20時間)を寝ている。一方で、体重の1/10までの葉を食べても耐えられるような解毒系の遺伝子を有し、優れた嗅覚と味覚によって、栄養や水分が豊富なユーカリの葉を探し出すことができ、そのお陰で木から降りて水を飲みに行くという危険を冒さずにすむ。
 日本の新幹線は、そのノーズ(先頭部)を、水飛沫を立てずに水に飛び込むことができるカワセミを模した形状にしたことによって、トンネルに入る際に生じる突然の圧力を減じ、轟音を最小限にすることができた。その結果、平均速度は10%上昇し、エネルギーは15%減少した。