高地文明 「もう一つの四大文明」の発見2022年04月11日

 山本紀夫 <中公新書・2021.6.21>

 世界の四大文明として(少なくとも日本では)広く知られているメソポタミア、エジプト、インダス、黄河に異論を投げかける書物であり、あまり支持する人は多くないようだが、それなりの説得力があった。「銃・病原菌・鉄(ダイアモンド著)」に載っていたか記憶にないが、現在の世界情勢に影響の少ない地域のためか、ほとんど知らない内容であったので興味深かった。
・熱帯あるいは亜熱帯地域は暑くて住みにくい印象があるが、高地では冷涼または寒冷であり、古くから文明が栄えた地域もある。本書では大河文明ではない、もう一つの四大文明として、メキシコ(のちのアステカ王国。マヤ文明は熱帯低地のため範囲外)、南米アンデス(のちのインカ帝国など)、ヒマラヤ・チベット、エチオピアをあげ、高地文明と命名した。これらの地域では標高2000m以上、アンデスやヒマラヤでは3000 - 4000m、それ以上の地域に多くの人が住む都市が古くから現在まで存在する。
・人類が出現したのは南米で10000年前、チベットで2-30000年前、エチオピアでは50000年以上前。古代、これらの地域に文字による記録はないが、紀元前5000年前頃には植物の栽培が行われた形跡がある。メキシコ/トウモロコシ, アンデス/ジャガイモ、チベット/オオムギ、エチオピア/テフ(イネ科)など。家畜も飼われた。メキシコ/犬と七面鳥のみ、アンデス/リャマ&アルパカ(ラクダ科)とテンジクネズミ、チベット/ヤク(牛の仲間)。エチオピアの高地文明はエジプト文明との交流もあったらしい。
 これまでに多くの本を書いている著者にも関わらず、文体が通常の新書本とは異なり、違和感が大きい。

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